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11月7日、富士宮市の外神にオープンする「MONT SAINT FUJI(モンサンフジ)」のシェフパティシエ「篠原健史郎」さんにインタビューさせていただきました。
篠原さんがどのようにしてパティシエの道に進んだのか、また店名の由来やお店のこだわりについても、たっぷり語っていただきました!
それではご覧ください。
現在に至るまで
――パティシエになろうと思ったきっかけを教えてください。
高校卒業後、大学進学で上京しました。大学では電子電気工学を専攻していました。
当時はWindowsが出始めた時期で、パソコン関係の仕事に就こうと思っていたからです。大学卒業後はSEとして働きました。
――最初はまったく別の道に進まれたんですね……!
そうですね。でも、4年ほどSEを続けてみて「自分は座り仕事が向いていないんじゃないかな?」と思ったんです(笑)
また出張が年間で250日ほどとかなり多く……ストレスも溜まりがちでした……。
そんなこともあって、出張に行く先々でストレス解消目的でケーキを食べていたんです。甘いものは子どものころから好きでした。
――わかります。甘いものは心を満たしてくれますよね!!
このような状況の中……北海道のとあるケーキ屋さんに行ったときに、働いているスタッフさんたちがキラキラして見えたんです。
そのとき、やはり「手に職を持って、人を喜ばせる仕事は輝いているのかな」と感じました。時代的にもパティシエブームが起こり始めていたこともあり、パティシエになりたいと思ったんです。
――ここでようやくパティシエに来るわけですね。
はい。立ち仕事ということもありますが(笑)それでパティシエを目指すために脱サラし、1年間横浜の製菓学校に通いました。
製菓学校卒業後は東京のケーキ屋さんに就職し、2年間洋菓子製造スタッフとして働きました。そこではケーキ作りの基礎を教えてもらいましたね。
その後、レストランでパティシエをしたり、パン屋でも働いたり……。
最終的に、東京のフランス洋菓子店でパティシエとして8年ほど働きました。このお店でフランス洋菓子に多く触れた経験が「MONT SAINT FUJI」にも大きく関わってきます。
――なるほど、パティシエとしては10年ほど下積みされたんですね。それでは引き続き、「MONT SAINT FUJI」についてお伺いします。
「MONT SAINT FUJI(モンサンフジ)」について
――この場所に決めた理由を教えてください。
お店の前の道路が整備されていたときに、この土地が工事現場の仮設ハウスとなっていたんです。
工事の作業員さんに話を聞いてみると、道路が完成したあとはこの土地は「空き地になる」ということでした。
ここは実家の近くでよく遊んでいた場所であり、富士山の眺めや景観も良いところだったので、他の候補もあったんですが、「お店を建てるならお金をかけてでもここでやりたい」と思いました。
――運命的なモノを感じますね……! ところで、店名はどうやって決めたのでしょうか。
店名は3つくらい候補がありました。
その中の1つは「大きな柿の木」でした。昔、お店の近くに大きな柿の木があり、この辺りを「大きな柿の木」と呼んでいたことが由来です。
でも、柿はあまりケーキに使わないということで辞めました(笑)
――たしかに柿のケーキってメジャーではないかもしれませんね。
最終的に決め手となったのは……妻と行ったフランス旅行で初めて実際に「モンサンミッシェル」を見たときです。
霧がかったモンサンミッシェルが「富士山」のように感じました。
意味的にも「モン=山」「サン=聖なる」ということで、「モンサンフジ=聖なる山、富士」は富士山にマッチしていると思いました。
他にこの名前のお店がなかったので、「モンサンフジ」に決めました。
――親しみやすさの中におしゃれさもあり秀逸な店名だと思います! お店のデザインでこだわった部分はありますか?
外装などにも使っているテーマカラーのブルーは景観に溶け込むように考えました。
店内は富士山が見える方角に大きなガラスを設置し、その枠をブルーで塗ることで「額」に富士山が入っているかのような演出にしました。
額となる枠の部分や店内の壁の塗装は職人さんにお任せするのではなく、ほとんど自分たちで行いましたね。
――より愛着がわきますね! ロゴマークも素敵だと思ったのですが、デザインのポイントはありますか?
富士山のイメージでまずは三角形ということと、三角形の中に店名のところで伝えた「柿の木」を入れています。
でもこれだけだとシンプル過ぎると思い……そのことを友人に相談すると三角形の中をステンドグラス風にする案をもらえました。
ステンドグラスはフランス、モンサンミッシェルともつながる部分のため、そうすることにしました。
――色々とリンクする部分があるロゴなんですね。最後にお菓子へのこだわりを教えてください。
フランスのクラシックなお菓子をメインに販売します。この辺りのお店で伝統的なフランス洋菓子を扱っているところがあまりなかったこともこの理由です。
また地元の食材として、近所の農家さんが作る「おおまさり」という大振りな落花生を、ペーストにしたりパウダーにしたりしてお菓子に使うのもこだわりです。
味的には濃厚さと口溶けの良さが特徴です。たとえば、パサパサしがちなクッキーにはバターを多めに入れ舌触りと口溶けをなめらかにしています。
――お菓子の見た目に関してはいかがでしょうか?
高さのあるケーキがフランスでは流行っていることもあり、当店でも高さのあるケーキにしていこうと考えています。
ケーキの飾りに関しては、ゴテゴテした飾りにはしないですね。でも口金は、フランスで購入したものでこだわりはあります。
――お店の様々なこだわりを教えてくださりありがとうございました。
インタビューを終えて
今回は「MONT SAINT FUJI」シェフパティシエの篠原さんにインタビューさせていただきました。
個人的には子どものころからの憧れでパティシエの道に進んだのかなと思っていたので、SEの転職ということに驚きました。
お店のいたるところにこだわりが感じられる MONT SAINT FUJI の今後がますます楽しみです。
オープン前のお忙しいところ、みやぐらしのインタビューにお答えいただき本当にありがとうございました。
なお、MONT SAINT FUJIの営業時間・定休日・アクセス・駐車場、外観や店内の様子などは下記の記事で紹介していますのでぜひチェックしてみてください。